実質無利子となる利子補給金の取扱い

 新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業者に対して、資金繰りの支援等を目的とした借入利子を助成する制度「新型コロナウイルス感染症特別利子補給制度」(以下、特別利子補給制度)があります。この利子補給金の収益計上時期については税務上留意する必要があります。

 収入の収益計上時期は、原則として「その収入すべき権利が確定した日」となります。法人はその収入すべき権利が確定した日の属する事業年度、個人はその収入すべき権利が確定した日の属する年分に、それぞれ計上することとなります。たとえば国や地方公共団体からの助成金については、助成金等の交付が決定された日に、収入すべき権利が確定すると考えられますので、原則として、その助成金等の交付決定がされた日の属する事業年度(個人であれば年分)の収益として計上します。

 ただし、利子補給金の収益計上時期は、上記の原則とは異なり、交付決定時に一括で収益計上するわけではありません。この制度の性質上、収入が確定するのは補給対象となる支払利子の発生時点であり、その発生時点で同額の利子補給金を収益として計上することになります。この場合の会計処理については、交付を受けた利子補給金の額を、いったん前受金等として負債の部に計上し、支払利子の費用処理に合わせて、その支払利子相当額を前受金等から利子補給金収入等の収益の部に振り替えることとなります。

 特別利子補給制度に類似した制度として、民間金融機関による実質無利子・無担保融資制度がありますが、こちらは都道府県等による一定の制度融資について保証料や利子が補助されるものです。多くの場合は、保証協会等に対して国等から補助分が直接支払われます。事業者が支払うことがないこの補助分は仕訳不要となります。