新型コロナウイルス感染症の拡大により広く採用されるようになった在宅勤務に関して生じる費用には、従業員の自宅の環境整備に伴うもの(従業員の自宅に設置する間仕切り、カーテン、椅子、机、空気清浄機など)や、事務用品、消耗品などがあります。これらの費用を事業者が負担する場合、従業員の給与扱いになるのかどうなのか、迷うところかと思います。
国税庁から公表されている「在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)」https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/0020012-080.pdfより、いくつかのケースを例に課税の取扱について説明します。
(1)原則的取り扱いと手当について
テレワークに係る費用を負担した従業員に対して事業者が実費相当額を精算する場合には、給与として課税する必要はありません。
在宅勤務手当について一律に一か月あたりいくらというように支給する場合は、実費の発生如何にかかわらず支給されるものであるため、給与として課税されることになります。
(2)事業者が従業員の在宅勤務のために負担する費用についての取り扱いについて。
パソコン等の支給についてはその所有権がどちらにあるかで取扱いが変わってきます。
①所有権が事業者にあるケース
貸与しているにすぎないため、給与として課税されることはありません。
②所有権が従業員にあるケース
現物給与と考えられるため、給与として課税されることになります。
在宅勤務を行うにあたり発生した通信費や電気料金については、業務に係る部分を合理的に計算して精算を行った場合には、給与として課税する必要はありません。
合理的な計算方法については顧問税理士等に相談することをお勧めします。